「ジー」とニイニイゼミの鳴く声が聞こえます。
セミの声を聴くと夏だなと感じますね。
南陵の森の緑は、木々もその下草もよく茂ってい
ます。
夏に向けて植物は、生き生きとしていますが、こ
の時期少し花は減ります。それでも、散歩道や芝
生広場など人が踏み入れるところでは、外来種の
植物たちが生育していて、ヒメジョオンやブタナ
などがたくさん花をつけています。これらの植物
は、初夏から秋にかけて咲き続けます。
南陵の森でこれから目立ってくる7月の花は、ヤマ
ユリです。山で見られる花の中ではひときわ大きく、
白地に黄色の筋と赤褐色の斑点が目立ちます。近く
の日当たりの良いところでは咲き始めていましたが、
南陵の森では、森の中の散歩道沿いに生えているの
で、まだ咲いていませんでした。あと1~2週間後ぐ
らいが見ごろとなるのでしょうか。ヤマユリは、発
芽から開花まで5年以上かかり、株が年を重ねていけ
ばいくほど、花数が増えていきます。
同じユリ科の植物の、ウバユリがつぼみをつけてい
ます。これもヤマユリと同じく、7~8月に咲きます
が、花が緑白色で、あまり開かないので、ヤマユリ
ほど目立ちません。花期には葉が枯れてしまうので、
「歯(葉)がない」から「姥」に例えられています。
ヤブカンゾウが芝生広場の隅で咲いていました。か
つては同じユリ科の植物でしたが、今はワスレグサ
科になるヤブカンゾウは、オレンジ色の八重の花を
咲かせていました。
木の花は上の方で咲くので、気づかないことがあり
ますが、地面の上に花が落ちていたら、見上げてみ
てください。満開を少し過ぎた感じで、ネムノキの
ピンク色の花が咲いていました。ネムノキはマメ科
の植物ですが、マメ科特有の蝶形花ではなく、花弁
は小さく中ほどまで合着していて目立たず、多数の
雄しべが目立ちます。夜になると葉は垂れ下がり、
小葉が閉じて眠っているように見えることからネム
ノキと名付けられています。
花が少ない季節とはいっても、歩きながら足元を見
てみると、イヌゴマ、キツネノマゴ、イヌトウバナ、
タカトウダイなどの小さな花が見られます。
オカトラノオは白い花をたくさんつけ、上部は垂れ
下がり、トラの尾っぽのようにみえます。
オオバギボウシは淡紫色の筒状鐘形の花を横向きに
つけています。
チダケサシは薄ピンク色の花をたくさんつけていま
す。
根生葉がダイコンの葉に似ていることから名づけら
れているダイコンソウが、鮮やかな黄色の花を咲い
ています。
高さが1mほどのヤマニガナが黄色い花を咲かせて
います。
コジャノメやジャノメチョウが森の中をぬうように
飛んでいきます。
イタドリの葉っぱでは、マメコガネが交尾をしてい
ます。
散歩道の途中で、モグラの捨土がありました。土の
中ではモグラが生活をしていて、トンネルを掘って
いることがうかがえます。
花の時期は短い種類もあって、歩いたときに一番良
い状態を見れるとは限りません。何度か通っている
といい状態の花を見ることができます。また、ちょ
っといつもと違う道や、違う目線で見てみると、発
見があるかもしれません。これから花開く7月の花、
ヤマユリを見に南陵の森を歩いてみませんか。