1月になっていよいよ冬本番ですが、ときに今日
のように日中、比較的暖かい日もあります。
歩いていると、ひらひらと飛んできたテングチョ
ウに出会いました。このチョウは成虫で越冬する
ので、冬の日でも温かいと、ひらひらと飛んでい
る姿がみられるようです。名前の由来は、顔の先
が天狗のようにとがっているからです。
富士山はというと、しばらく雨が降っていないか
らか、雪は風に飛ばされ、山肌が見えています。
南陵の森の様子はどうでしょうか。落葉樹の葉っ
ぱは落ち、林床には光が差し込んでいます。森の
中から空を見上げてみると、枝が広がり、青空が
見えています。
冬の時期は、花もほとんど咲いていないので、冬
も緑の葉っぱをつけているものを観察してみると
よいと思います。木に絡まっているキヅタは常緑
ですが、この時期、葉っぱの色が少し茶色く色づ
いていて、葉っぱのすじ(葉脈)がよくわかりま
す。
冬芽の観察をしてみるのもよいと思います。冬芽
にもいろいろな形があって、そしてその芽は裸な
ものもあれば、うろこ状の小片(芽鱗)に覆われ
ているものもあります。アカガシやシロダモはた
くさんの芽鱗に囲まれていますね。
冬芽にも葉芽と花芽があって、アオキの花芽の中
には蕾が見えています。
芝生広場へ行くと、植物が枯れて、黄土色に覆わ
れているように見えます。しゃがんで観察してみ
ると、所々に地面にペタッと葉を広げたロゼット
が見られます。秋に花を咲かせる背の高いセイタ
カアワダチソウも、今は地面にペタッと葉をくっ
つけています。
スイバの葉っぱは赤くなっていますね。
ハルジオンのように冬越しの間だけロゼットの形
をとるものもあれば、ブタナのように一年中ロゼ
ットの形をとるものもあります。
冬に咲く花は少ないだけですが、早春に咲くもの
や、本番は春であっても、一足先に冬から咲き始
めるホトケノザのような植物もあります。日当た
りの良いところで、赤紫の花をつけていました。
ホトケノザは、葉っぱの様子が仏さまが座る蓮座
に似ていることから名づけられています。春の七
草にホトケノザが出てきますが、あれはコオニタ
ビラコを指し、葉っぱがロゼット状になるので、
由来は同じですね。
今日は歩いていると、実をついばむような音が聞
こえてきました。しばらく観察してみると、集団
で枝から枝へと移っては実を食べているイカルで
した。鳥は種類によっていろいろなくちばしをも
っていますが、それは食べる物によって異なり、
イカルは木の実を砕くのに適した太い黄色いくち
ばしをもっています。
冬は緑豊かな時期や花の咲く時期に比べ、対象を
絞って観察ができます。緑色やちょっと赤く色づ
いた葉っぱなど、ときにはしゃがんで一休みしな
がら、ゆっくりと南陵の森を歩いてみませんか。