12月中旬を過ぎて、ここ数日は冷え込むようにな
ってきました。富士山の雪は、風で吹き飛ばされ
て、そんなに多くは見えませんが、それでも冬の
様相をしています。
南陵の森はどうでしょうか。まだ所々に黄色や赤
色の葉をつけた木が残っているものの、森の中ま
で光が差し込み、木々が落ち葉の上に影を落とし
ています。
南陵の森の多くはコナラ、クヌギ、エノキ、クリ
などの落葉広葉樹が多いので、現在落葉していま
すが、所々に常緑広葉樹が見られます。
その中にクリスマスツリーともなるモミの木や、
リースに飾られるヒイラギの木がみられます。
クリスマスのヒイラギは、本来はセイヨウヒイラ
ギですが、日本に葉がトゲトゲで似ているといえ
ばヒイラギになります。でも、葉はトゲトゲで似
ているものの、セイヨウヒイラギはモチノキ科で、
ヒイラギはモクセイ科になります。雌雄異株とい
うところは同じですが、セイヨウヒイラギは赤い
丸い実をつけ、ヒイラギは楕円形の紫黒色の実を
つけます。
今日は散歩道を歩いていくと、枯葉を踏むガサガ
サという音のほかに、霜柱が所々でできていて、
ジャリジャリと音をたてます。霜が降りて白くな
っているところもあります。
森はシーンと静まり返っていて、時折鳥たちが幹
をくちばしでたたく音や、木から木へと飛びまわ
る音、枯葉の中を歩く音や、鳴き声が聞こえます。
シジュカラやヤマガラ、エナガ、メジロなどが、
枝から枝へと飛んでいきます。
12月になって、ヤブコウジやナンテン、フユイチ
ゴなどの赤い実が見られるものの、咲いている花
はほとんどありません。
でも、地面をよく見てみると、花のように開く葉
っぱが見られます。植物の冬越し形態であるロゼ
ットです。草原や林縁、散歩道には光が当たり、
また人も歩くので、外来種も含め、いろいろなロ
ゼットが見られます。一番多くみられるのはハル
ジオンのロゼットです。ほかにブタナやコウゾリ
ナ、スイバのロゼットが見られます。ロゼットの
形は寒さや風雪に耐えながら、少しでも太陽の光
や温かさを求めて身に着けた植物の冬越しの姿な
のです。
一方、タンポポやオオバコのように一年中ロゼッ
トの形をとる植物も見られますが、これらの植物
も冬の間はより一層地面に張り付いて、冬を過ご
します。
南陵の森は、冬の間、光が差し込み、日中は温か
さを感じます。地面まで光が差し込み、所々でロ
ゼットの葉っぱを花のように開き、冬を生き抜く
植物たちに出会えることでしょう。ときに霜柱を
ジャリジャリと歩きながら、冬の南陵の森を歩い
てみませんか。