6月になってますます森の緑は濃くなり、植物の生
育は旺盛になって、林床の植物もよく茂っていま
す。
南陵の森を歩いていて今一番よくみられる花は、
ドクダミです。白い花びらのようなものが目立ち
ますね。これは総苞片と呼ばれるもので、4個見ら
れます。本当の花は花芯に見える突き出た部分で、
花弁もがく片もない、雄しべと雌しべでできた花
がたくさんついています。
ドクダミは薬草として有名です。花の時期が一番
薬草としての効能が強く、薬名は十の効き目があ
る事から「十薬(じゅうやく)」の名があります。
葉は摘むと独特なにおいがありますよね。引っこ
抜いても引っこ抜いても地下茎が残るので、この
薬草が一番簡単に採集できて、量もそろえること
ができるのではないでしょうか。
次によく見られるのは、うつむいた釣鐘状の花を
咲かせるホタルブクロとヤマホタルブクロです。
名前の由来は、この花の中に子供が捕まえたホタ
ルを入れて持ち帰ったり、遊んだからだといいま
す。また、提灯のことを「火垂(ほたる)」と呼
ぶ地方があり、その提灯の形と似ているからだと
いいます。
ホタルブクロとヤマホタルブクロは、よく見ても
らうとがく片の形が違います。ホタルブクロは、
がく片の湾入部に反り返った付属体があります。
花も大きいですし、まとまって生えているところ
もあるのでとても目立ちます。
葉っぱだけだと目立ちませんが、林床にはオオバ
ジャノヒゲの花が所々で咲いています。
他によく見られるのは、日当たりの良いところで、
時々草刈りもされて管理されている草地に、ネジ
バナの花が咲いています。20cmぐらいの草丈で、
ランの仲間で一番よくみられる種類です。小さい
ながらもちゃんとランの花の形をしていてかわい
らしいです。ねじれるように咲く様子から、名前
が付けられているのでおぼえやすいですね。
芝生広場の隅では、花が星形で大きく、見栄えの
する花が咲いています。茎にとげが多く、刈って
も刈っても生えてくる繁殖力の強いワルナスビが、
満開に花を咲かせています。
6月のこの梅雨の時期といえば、いろいろなところ
でピンクや青や紫などのアジサイが咲いていますが、
「四季の花の森」には植えられたヤマアジサイが、
花を咲かせています。これも真ん中の両性花より、
まわりの装飾花の3~4個の白いがく片が目立ちます
ね。
赤く色づいているのは、ヒメコウゾとオニシバリの
実です。ヒメコウゾの実はみずみずしくておいしそ
うに見えますが、口当たりはあまりよくないようで
す。
雨の多い毎日ですが、ベニシジミがネジバナの花の
蜜を吸っています。
ツチイナゴは、草原をぴょんぴょんと飛んでいます。
セマダラコガネは、葉っぱにしがみついています。
南陵の森を歩いて、6月の花、ドクダミの花を詳しく
観察してみませんか。雨の合間をぬって、他にもた
くさんの花や、旺盛に茂った木や草の中を森林浴を
しながら歩いてみませんか。